第28回 湧き水まつりの概要


 ■ 第28回 湧き水まつり  

                平成26年11月8日

    野川のホタル復活とゲンジボタルの生態について (講演の要旨)

          講師  陸生ホタル生態研究会    小俣軍平
講師の略歴

1932年 山梨県大月市生まれ   82才
1963年〜現在まで八王子市在住
1954年〜1992年まで山梨県・八王子市で、公立小学校教諭
1976年〜1992年まで教育の場でのゲンジボタルの保護運動に
取り組む
1998年〜2007年まで八王子市上恩方町の板当沢での陸生ホタルの生態研究に参加
2007年〜現在まで陸生ホタル生態研究会事務局長
日本土壌動物学会会員・昆虫DNA研究会会員・日本ホタルの会理事
多摩里山動植物研究会事務局長
1. 東京都で見られるホタル

日本の国でホタル≠ニ言えば、ゲンジボタル・ヘイケボタルの事で、その他のホタルについてはほとんど
知られていません。
しかし、現在日本に棲息が確認されているホタルは50種で、そのうち本土で見られるホタルは15種ほど、
東京都でみられるホタルは11種です。


2. 保全の為の取り組みの中で、問題となっているゲンジボタルの生態について

ゲンジボタルは、日本の固有種で、平安時代の昔から広く親しまれて来た昆虫です。
また、その生態についても本格的な研究の歴史は古く、100年以上にもなります。
したがって、全て解明済みかと想われていますが、ここ30年ほど、全国的に広く展開されてきたゲンジボタル保護・
保全運動の中でみてもその生態については多くの疑問が浮上してきています。

今回は、その中のいくつかを取り上げてみました。
 ・棲息環境について
 ・生態について(幼虫の食べ物・産卵・蛹化など)
 ・ゲンジボタルは、2種類ではないか。

3. ゲンジボタル復活の取り組みからみた野川の現状について

(1)良好な環境
 ・河川がコンクリ−トの護岸で覆われていないこと。
 ・河岸沿いの残留緑地・公園などが多く、樹木が多いこと
 ・流域沿いの近距離に湧水が点在すること
 ・多様な水生の生物がみられること。
 ・河川敷に残留する土壌の量の多いこと。
 ・ゴミが捨てられていないこと。

(2)気になる点
 ・周辺の街の下水が、降水量によっては雨水と共に野川に放流されること
 ・河川敷、河岸を含めて市民の憩いの場になって居るための、人圧による影響。
 ・街中を流れる河川の「親水公園計画」とそこに棲む生物多様性保護の問題。
 ・外来生物の侵入、タイワンシジミの異常な繁殖
 ・外来種のカメ・魚類など。
 ・ゲンジボタル・カワニナの持ち込み問題。
 ・野川水系の地下水脈と湧水の問題など。

4. おわりに

ゲンジボタルについての保護運動は、現在も全国各地で数多く展開されていますが、
そのほとんどは、人工の施設造りと室内飼育した幼虫・カワニナの放流です。
中には幼虫・カワニナも業者から購入して済ます場合もあります。
その為、保護に最も必要な生息地の自然環境に密着した生態研究は、なおざりにされています。
また、保護対策の内容も、ゲンジボタルを如何に沢山飛ばすかに絞られています。
その為生物の保護対策の基本であるはずの生物の多様性は、二の次にされている場合が多くみられます。
野川のゲンジボタル復活も、「ゲンジボタルを復活させて楽しみたい」という人間だけの欲望で取り組まれたら
間違いだと想います。
基本はあくまでも野川流域の生物多様性豊かな自然環境の再生です。
野川でどれくらいのゲンジボタルが棲息できるかは、人間が決めることではなくて、野川流域に棲息する生物全体が
納得して決めることです。
それをなおざりにして保護運動を展開すると、ゲンジボタルに良いと想われることをやっても、ゲンジボタルが飛ばない
という結果を突きつけられます。
そういう私も、今日の話はゲンジボタル中心で終わっています。
言う事は簡単ですが、多様な声なき生物の希望をどうくみ取るかは容易な事ではありません。
今回の催しが、野川の多様な生物たちの声なき声に耳をすます一つのきっかけになれば、素晴らしいことだと想います。

(完)




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